最近は資格を取得するのがブームらしい。
もちろん最近の就職難も背景にあるのだろうけど、特に必要な資格ではなくても、とりあえず取得してみる人が増えてきたそうだ。
かくいう私はかつて人材派遣会社に所属していたのだが、今ひとつ資格とは疎遠だった。資格があれば仕事は増えるが、仕事を選びさえしなければ、それなりに仕事はあるからだ。しかし、取得したい資格はある。
それは玉掛け技能の資格だ。
といっても玉掛け技能とは何か分からない人の方が多いだろう。これはクレーンで運搬作業などをする際、クレーンに物を掛けたり外したりする補助的な役割のことだ。
この資格を持たないと玉掛け作業ができないということになるのだが、資格を持ってる人が一緒にいれば、補助ということで作業はできる。
これまで私は特に必要性を感じなかったのだが、ある程度経験を積むと、新しく現場に入った人に教えるポジションになる。
そうなると、その新人が補助になるためには、私に玉掛け技能の資格が必要となるわけだ。
これは当時所属していた派遣会社が負担してくれるのが慣例だった。ところが不思議な事に、会社は私にだけ、その技能を修得させてくれることはなかった。
一方、若い新人には優先的に技能を修得させていた。若い人材を所望する会社が多いため、仕事を獲得しやすい。人材派遣会社としての利益を優先したというわけだった。
私はそれなりに手先が器用だったため、玉掛け作業以外にも色々と派遣されていた。だから特に取得させる必要がないと考えていたのだろう。
しかし人の感情としてはやっぱり面白いわけもない。結局、私は仕事を通じて知り合った人物から声をかけられ、その人材派遣会社から別の会社へと移った。
玉掛けなどとはまったく無縁の仕事で、今ではそれなりのポジションに就き、満足はしているのだが、苦い記憶となった玉掛け技能がいまだに心残りである。
もう取得する必要性もないのだが、気持ちをすっきりさせるために、個人で取得はしておきたいな、と思っている。